「献立塾」主宰の小寺美江です。本日のテーマは「食べること」と「子どもの繊細性」についてです。子どもの少食(小食)や偏食を改善していく際に、欠かせない視点をお伝えします。
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生活習慣病が蔓延している現代の日本。子どもへ「望ましい食生活」を習慣化させていくことは、子どもの発達やそこから先(お子さんが家族をもつ時代以降)への影響もあるため、重要課題の1つです。
しかしながら、単に「栄養バランスの良い献立の見本通りに食べさす(完食させる)」ことを目標にした場合、子育てをしているお母さんを苦しめるだけで、問題は解決から遠のく場合もあります。
「献立見本」や「残さず食べる」は大切ですが、その見本こそが、子どもの食事を作っているお母さんたちを苦しめてしまう現実にも、介入する立場の人は考慮する必要があると感じています。私自身、母親でありながら「食育・献立」伝える仕事をする中で痛感しています。
「子どもが作った食事をすんなり食べてくれない」
「すごく偏食」
「食事量が極端に少ない気がする」
このような「子どもの食事のお困りごと」を抱えててらっしゃる方は、
「こんなに食べなくて 大丈夫なのだろうか?」
「この子は病気になりやすい体質になってしまうのではないだろうか?」
「頭の悪い子・集中力のない子・メンタルの弱い子になってしまうかも?将来、困った人生になってしまうんじゃないだろうか?」
などと悩みがちです。
子どもの健康は、先天的な要因に加えて環境的要因である「何をどのくらい食べたか」が影響することから、食事は脳に影響を与えます。
また、人は「習慣」に支配されていますので、上記のように思ってしまって当然の節もあります。(私自身も、栄養学を学ぶ前までは当然のこと、学んだからこそ発生してしまう上記も含む様々な不安にかられた経験あります。)
結論からお伝えしますと、
〇食べさせているもの(食材・献立)
〇食べさせている量
〇食べる習慣
が、
★繊細性を強化していまい、
より困難な路線へと進んでしまうケースと、
★現状に合わせて上手いことお母さんが
調整出来ていて、
世間的に見たら、「そんな食生活で大丈夫?(栄養バランスがすごく悪そう)」と思われていても、大丈夫なケースがあります。
一般的な表現の「食べない子」の性格面の特徴として「慎重」「怖がり」「石橋たたき系」「一人遊びが好き」「頑固」「競争に興味がない」「これは何?と何でもしつこく確認したがる」「すごく優しい」「共感力が高い」などのがあるかもしれません。
必ずあるというわけではないのですが、「うちの子は〇〇で・・・」というご相談内容の「〇〇」によく挙がる性質の一部を例として書きました。
このようなお子さんは、味覚がお母さんの想像以上に繊細なので、
「なんでこれは食べれて、この料理にすると食べられないの?」「味噌を変えただけなんだけど」「匂いだけで嫌って…勘弁してよ!」
というような、自分(作り手)から見て理解不能なめんどくさいと感じることが日常で頻発します。
「このくらい我慢しなさいよ!」と思ってしまいがちですし、イライラしていると子供に「食べなさい!」と声を荒げたり、不機嫌そうな顔をしてしまって「母親として忍耐が足りないのかも凹」と自分を責めたりしてしまいます。
残念ながら、生まれ持ったお子さんの「味覚」の感じ方の特徴をガラリと変えてしまうことはできません。髪の毛の色や、目の色と同じように、「生まれ持ったもの」というのは変わらないのです。
このように繊細な一面を持つお子さんの場合、「子ども向け○○レシピ」などで頑張って作っても、無駄になる場合がほとんどです。実際「かわいらしいおにぎりにしたのに全然食べず、〇〇にすると仰天するほと食べた」「子どもは食べない、好きじゃないだろうと思っていた○○料理が実は大好物だった」などという声をたくさん聞いてきました。
また、「子どもが好きなレシピ」や「子どもが食べてくれるもの」に注力し過ぎることにより、「カレー・オムライス(ケチャップ味)・ハンバーグ・焼きそばなど、味の濃いものしか食べられない」「パンばかり食べる」との様に「どんどん食べられるメニューが減ってしまう(限られた味付けになってしまう)」「食べて欲しい食材が食べられるようにならなくて毎日大変」と悩んでしまうケースも多々あります。
では、このようなお子さんの食事作りを
どうやって行けばいいのでしょうか?
「いつか食べられるようになると思うよ」とママ友さんや先生に言われたとしても、うちの子は、本当にそのケースに当てはまるのだろうか?と思うでしょうし、「いつか」までを「どのような心持ちで過ごせばよいのよ?」と思うこともあるのではないでしょうか?
また、何も対策をとらないまま、自己流の食生活で成長をもやもやした気持ちを抱えて待つのと、適切に介入したことによる差異についても、堅実なお母さまなら「差が無いわけない」と考えられる方が多いです。
いつかに期待してただ耐えるだけや、なんとなくやり過ごすことへ抵抗を感じる方のために、私が大切にしてる3つの視点をお伝えします。
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①食べたものが、どのように吸収されるのか?栄養素が体の中でどのように働くか?というメカニズムをお母さん自身が知る。
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※まだ未知の分野もたくさんあります。だからこそ、お母さんたちは原始的なメカニズムだけを押さえておけばOKです。
「(1)代謝のしくみ」「(2)食品の特徴」「(3)代謝を邪魔しない食べ方」この3点を知ると安心します。
まずは基本的なことを知れば、自分にできる対応法が見つけやすくなります。「食事に関する安心感」が増えることで子どもの様子に対して、冷静に対応できるようになります。
知識をお伝えしている1Dayセミナ―の受講生様より、「知ったことですごく気持ちが楽になった」という声をたくさんいただいています。知らないということは、行先が分からないマラソンをしているようで辛くなってしまうのです。「知る」ということが安心材料になりますので、まずはお母さん自身が上記3点を学ぶことに意識を向けましょう。
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②嫌い・苦手の”原因”を分析する。
★食材(食べ物)の特徴
★料理(加熱や組み合わせ)によっておこる味や食感の変化の特徴
の2側面から見て、子供の”嫌い”という感覚に何が触れるているのか?の傾向をつかむ。この際「好きな食べ物」「食べられる料理」の特徴も加味します。
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何となく好き嫌いを眺めてみるのではなく、「子どもの感覚に何が触れているのか」を「そうなんだな」という共感をもって「観察」していくこと大切です。
お母さんが、食事中に自分の感情に巻き込まれた状態で食べたり食べさせていると、お子さんとの間に必ず必要な「心理的境界線」が無くなり、冷静に観察することができません。
子どもが何を感じて、何と伝えているのか?を知ろうとすること。もちろん、知るだけでそれ以外は何もしなくてもよいなんてことは無いですが、食べることは、自分自身及び他者とのコミュニケーションなので、知らないとトンチンカンな対応方法を取ってしまいます。
また、お母さんが「おいしいよ」と伝えても、子どもには伝わりません。
なぜなら、子どもにとっての「おいしい」が、お母さんの「おいしい」とずれていることが多いからです。
大人の方が味覚が鈍感ですし、食経験を通して自然に得られた「美味しいという認知」の量が圧倒的に多いです。
子どもははまだまだ「体験」を通して「おいしい」と学んできたことが少なく、「見た目」のみでジャッジしやすいのですし、においからの連想が脆弱であったり、におい・味・食感から得られる安心感の耐性の幅が狭いです。
「おいしいよ」ではなく、具体的に「どんな食材を、どのように調理したのか。どのような調味料を使って味付けをしたのか。」という事実を伝えましょう。
「おいしいよ」を伝えたい時は、口に含んだ時の味や感覚など「味覚の要素」に沿って伝え、「お母さんの感覚だけれど」と、軸を「私」にして表現します。あなたは(相手・お子さん)の感じ方はどうか?は自由であることを伝えてあげましょう。
低年齢で語彙力が不足している場合は、お母さんの語彙で補ってあげながら進めてくださいね。
そうすることで、子どもは「おかあさんが美味しいって言ったのに!ぜんぜん美味しくない!!」という怒りからの「食事の拒否(頑固)」のリスクをぐっと下げることができます。
日々の食卓でお子さんの怒りが積み重なると、子どもはお母さんの料理を信頼できなくなってしまいます。怖くなってしまったり、疑いたくなったり、慎重になり過ぎてしまうといった感じでしょうか。
本当は美味しい料理なのに・・・自分が作った食事を信頼・信用してもらえないのは、コミュニケーションがすれ違ってしまい、それの積み重ねから起こっているかもしれないということへも目を向けてみてください。コミュニケーションがすれ違ったままですと、お母さんが作る料理を修正するきっかけすらつかめません。
何を感じるかはお子さんが決めることです。お互い、感覚が違うのですから、まずはその違いをありのままでいったん受け止めることが大切です。
例えば、卵には硫黄成分が含まれているため、調理方法によってはその成分のにおいが強く感じられてしまう場合があります。通常は気になりつつも食べられるかもしれませんが、嗅覚が繊細なお子さんはその匂いから身の危険を感じて「嫌い」「気持ち悪い」となるかもしれません。
それなら、臭いを感じにくくする対応を試したいですね。逆に、においではなく、固い食感(逆にブヨブヨ食感)が苦手なら火加減に気を付けるなど、対応方法が全く異なります。また、「臭くても美味しい」という認知は、学習を通して得られることであり、卵以外の食材を通して定着することかもしれません。
ただし、苦手分析をする際には1つ注意点があります。
どんなに分析しても「分からないこと」があり、分析できても対応方法に正しい答え(正解)が存在するわけでないということです。
人(自分も含め、子どもや家族、お相手の方)のことを、全て知ることは不可能ですよね。味覚についても同じです。全て知る・全て分からないと意味がないという「白黒ハッキリさせる」という視点に偏っていないか?とご自身に問うてみてください。
全てを分からなくていいんです。
やっていくうちに(成長していくことや経験を重ねることで)分かることも出てきますし、後になって分かる事だってある。ですから、分析は大事ですが、その目線に偏り過ぎず、マクロとミクロを行ったり来たりしながら「観察」という姿勢でやっていきましょうね。
対応方法も「これが正解!」「この方法だと絶対食べる!」という「正解」は存在しません。(傾向はあります。実験で言うなら「仮説」ですね。)
試行錯誤する過程そのものが財産となりますので
「食べる練習」と「料理の練習」をしていきましょう!
子どもの味覚は3歳で完成すると言われています。離乳から3歳を過ぎるまでの「食経験(味覚トレーニング)」は一生の財産になります。
お子さんも、お母さんの料理をおいしい!と思いたいし、おいしい!を沢山経験したいと思っているのではないでしょうか。
食べる練習とは、お子さんだけでなく、お母さんやお父さんにとっても必要な事である場合が多いです。「子どものため」と言いながら食べることを見直した結果、ご自身の味覚や食事量が随分変わり、体重や体調が変化するということは高確率で得られる「成果」です。
一時的に「このメーカーさんの○○だったら食べられる」「この商品を使えば食べられる」を探し求めることも、私は大切であると思っています。
食卓が「緊張感とトラウマの場」となると、食べ物に対する繊細性が過敏になり、心がヒリヒリとしてしまいます。
楽しい食卓になることが「食べられる」ための前提としてとても大切な事ですから、それのための手段は、各家庭で色々とあっていいと思います。お母さん自身も、少しでもこれならというものがあれば、日々の献立の精神的な負担を軽減できると思います。
そこからもう一歩抜け出し次のステージの「ラク」になるためには、「素材選び」「料理(調理)」「食習慣」を調整していくことが必須となります。
「お子さんの言いなり」になるのではありません。そのヒントは次項以降をご参考ください。
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③”食べられない”を一層強化してしまっている食品をやめていく。
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脳が無意識に求める栄養素を「純度の高い方法」で摂るのを止めます。
そうすることで、脳や体にとって必要な栄養素が含まれる食材を
受け入れられる幅が無理なく広がるため、お母さんが驚くほど、食べられる食材や料理が広がります。
【悩】ご飯を食べてほしいのに、菓子パンや麺類を好む。
【悩】みそ汁を食べてほしいのに(飲んでほしいのに)嫌う。
このように、理想とかけ離れた食生活の根底には、
・ご飯以上に甘い食品を食べ慣れている(砂糖・甘味料・飲料の影響)
・野菜の旨味以上の、強い旨味や油脂の味に慣れてしまっている。
・強い塩味・強い旨味成分に慣れてしまっていて、それと同等かそれ以上のものでないと「美味しい」「食べたい」と感じられなくなってしまっている(味覚鈍麻)
・噛むことで得られる美味しさに到達するまでの過程(練習)が不足している
ということも考えられます。
「食べる練習」を通して食経験を積み重ね「おいしいね!」を増やしていくためには、「やめていくこと」と「やること」の両輪を具体的にお子さんに合わせて決めていくことが必須です。食品の特徴をよく考慮し、やめていく必要がある食材をピックアップしていきます。
特に、加工品との付き合い方は重要です。
加工品と聞くと、お菓子やインスタント食品を連想するかもしれませんが、家庭の中で「加熱や味付け」をしなかったお料理や、合わせ調味料など幅を広げて目を向けてみると、ヒントがみつかります。原材料や製造方法を見てみてはいかがでしょうか。
一番やってはいけないことは、食べるからと言って、食べる商品(料理)だけを与え続け、食べないからと一切食卓から消してしまう事です。
頑張ってアレコレ作る必要はありませんが、「これだけ」にしてしまうと、食べられる幅を広げるチャンスも取り去ることになります。
①は国を挙げて様々な教育がなされていますが、食については、アップデートされていることもありますので、時間とお金をかけて学ぶ価値がどんどん大きくなっている今、何かしら学んでみることをお勧めいたします。
②は離乳食が始まったらすぐに必要な視点です。年齢とともに変化変容していきます。また、1歳半くらいまでは食事で栄養を摂る率が少しずつ高くなっていきますが、食べムラも大きい年齢です。まずは「食事はたのしい」という感覚感情を育むことが最重要項目です。
③は子供が1歳半~5歳くらいまでの間は特に意識していきましょう。10歳前後から心の成長の段階に入っていきますので、それまで続けられるだけ続けたいところです。思春期に入ると、「自分は何者なのか」を「親の意見ややり方に文句を言ったり反抗的な態度をとりながら」確立していていきます。しっかり反抗させることも大切な時期になるのです。この時期になると、食事面でも同様の傾向が見られるようになります。
「偏食がちでよくないなぁ~」と思ったのに、放置してしまった7歳~12歳くらいのお子さんは、ここ(③)に戻って見直すと少食偏食に改善傾向がみられるようになります。
自分の考えをしっかりと持ち、表現する年齢へとさしかかりますので、小さい頃よりは思い通りにはいかない部分もあるかもしれませんが、お子さんの理解力と想像力などは発達していますので、信頼関係が築けていれば食事面の改善はとてもスムーズです。
以上、少食偏食の対応について
小寺が大切にしている3視点及び、それに付随する意識の向け方についてお伝えしました。
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ここからは、日々私が少食偏食改善のためのサポートをしている中で感じていることと、私が幼少期に感じていたことをお伝えしていきます。
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子どもは本来、自分が食べたらよい物や量を自分の身体で知っているのだと感じています。しかし、それらが「加工」や「外の基準」により分かりにくくなっているため、
子どもの「これは食べていいの?(毒じゃない?)」という
センサーが異常に(過敏に)働き、非常に警戒心の強い状態を
生んでしまっていることも考えられます。
これらの状態は、非常に深刻な表情で伝えられることはなく、
ものすごく「嫌そうな顔」だったり、「わがままな言い方」で伝えてきます。悪気があって言っているわけではありませんが、お母さんだって神ではありませんから、言われ方によっては、普通にイラつきますよ(笑)
私は「うちの子、〇〇なんです」という些細な事でも、先述した3側面からアプローチします。生まれ持った「髪の色」「目の色」は変えられませんが、それをとても魅力的に表現したり、特徴を生かしたコーディネートをすることはいくらでも可能ですし、その方が楽しいですよね。
味覚も同じ。直そう直そうとするのではなく、特徴を知り、それを生かしていくことで「少食・偏食をするっと解決する道」が開けます。
味覚が繊細なお子さんは「拒否」も多いですから、親としては心折れるシーンが多いわけです。親は日常生活で他にもやることがいっぱいありますから、「食事ばっかりに構ってられない!」とイライラするかもしれません。
ですが、この「食べる」という生きるために必要な根本的なことへの
対処を、早々に諦めてしまったら、本来、もっともっとスムーズに運ぶはずの「成長過程で起こるいろんなこと」がややこしくなっているくのかもしれません。食べることはコミュニケーションと同じ。
少食・偏食を「悪いこと」とされてしまうと、お子さんはとても悲しみます。
不必要な思い込みを植え付けていることになるかもしれません。
実際「僕はお母さんの作ったものが食べられなくて悪い子だよね」「どうして僕はこうなんだろう」と、お子さん自身が自分を責めてしまうケースも見聞きしてきました。
逆に、「我が子の味覚を通して、自分で作る美味しいの料理に出会えました。」となって行かれた方もたくさんいらっしゃいます。
もし、自分が「あなたは性格が悪い」「あなたは頭が悪い」「あなたは何もできない」と言われ続けると、本当にそうかもしれないと思ってしまい、自分で自分を「そのような人」に仕立て上げてしまいます。
私は、少食や偏食への考え方も同じだと思っています。
決めつけたり、もつれたまま成長するのではなく、その時々に、お互いが力を合わせて見つめ直したり成長していけばいいのではないでしょうか。お母さんだって完ぺきではない。だから、その場その場で精一杯やればいいと私は思っています。
私自身、「食事づくり」や「食べること」「食事のシーン」を通して
「自分の弱点(トラウマ)」を子どもに突かれまくったな・・・などと思っています(*_*) 辛いし痛いですね!これができるのは、子ども(子どもから見るとお母さんだから)なのでしょうかね。
味覚が繊細なお子さんは、例えば、口の中にあるセンサーが、通常10本だとすると、繊細なお子さんは100本あると想像してみてはいかがでしょうか。当然、細微な違いを受け取る力に優れていることになります。
その分、自分のセンサーに触れないようにするために、食べる食材・食品を限定してしまうと思ってください。子供なりに精一杯自分を守っているのです。
お子さんの現状と感覚には、しっかり耳と目と心を向けてみてください。私自身も、ことあるたびに「耳と目と心を向けてみる」へ戻ります。いまだにそうです。お伝えする立場になって、色々と改善してきたいまであってもです。そして、「子どもは、何を伝えようと一生懸命になっているのか?」と、自分の在り様に照らし合わせて自問しています。
「感情的な反応をしてしまう」のであれば、お子さんとの間の心理的境界線が薄くなり過ぎているかもしれませんね。自分の感情がどんなことに触れているのかを見つめるチャンスです。
お子さんが伝えてくれている感覚に
寄り添うチャレンジを楽しんでみましょう。
逆に、「食べられる楽しさ」を増やすためにも、やめた方がいい食習慣をやめたり、料理を工夫する英断をなさって欲しいと願います。それがお母さんだからできることの1つであると思うのです。
やめた方がいいことの事例はいくつもありますが、今までに多かった事例は
・食事中にお茶や水を一緒に飲むのをやめる
・プロテイン入りのドリンクをやめる
・牛乳の多飲をやめる
などでした。
また、食品選択が偏り過ぎているなら「目安量」を決める、などが有効です。そうすることで、食べられる物や料理が増えるので、食事の準備をする側としては選択肢が増え、心も手間も楽になっていきます。(楽になるの時差は生じます。)
今までの食習慣を拝見してみた結果「やめること」
が肝になったケースも多々ありました。
料理が苦手と思っているのは「子どもが食べてくれない」
という外的な要因で、自分で勝手に「料理が苦手」と思い込んでいるだけというケースもあります。
本当は十分上手だったり、調理のコツをおさえる努力ではなくて、「頑張る必要ない部分」を頑張っちゃってたりします(^_-)-☆
※自分の親の影響を強く受け、「子どもの食事はこうするべき」と思い込んでしまっていることもあります。
***
食べる事というのは、元来「死」との隣り合わせでした。食べ物で命を落としたことで、「食べられない?食べられる?」を知ることができたという酷な現実があります。私達は沢山の犠牲のもとに、
今、生きられているとも言えます。
ですから、私達の身体は「食べる」ということに対して、「危険かもしれないので気を付けろ」ということをセットで覚えています。同時に、安全に作用するように、身体は一生懸命適応してきました。
繊細なお子さんは、「食べなければならない」というプレッシャーや「自分の好き嫌いを直さなきゃ」という大人の無意識の圧力がもとで、このセンサーが通常以上に繊細に働いてしまい、様々な物が「食べられない」となってしまうのかもしれません。(性能の高い電子機器は、繊細に使用しないと、誤作動も起こしますよね。アラームが鳴りやまないとか。)
子どもの中で起こっている、”想像と現実は違うんだよ”というのを
子ども自身が知る必要があります。想像の中にあった「虚像」を壊し、食べ物に対してのその子なりの「偏見」を修正していき…新たな「おいしい!」と出会っていってほしいと思います。
「食べる事は安心」の域を広げていく日々の 些細な積み重ねが結果として大きな可能性を開くと感じます。
また、「何でも食べられることがいい事ではない」「子どもの味覚は育てるもの」という親の視点も必要ですね(^_-)-☆
味覚が繊細で、味にうるさい子(と表現されてしまうお子さん)は、創造力が豊かで、観察力・洞察力も鋭く、自然や人を大切にする優しさや、命の尊さを小さい頃から考えるなど…ほかにも大人の想像を超える素晴らしい感性をお持ちです。少なくとも、私がお会いした「少食・偏食相談」にいらっしゃるお母さんから発せられる言葉からは、お子さんの素晴らしい個性が伝わってきます。
少食・偏食は「自分を悩ます種」ではなく、「子どもからのメッセージ」であると捉えてみてください。
お子さんは、少食・偏食という行動で、お母さんに何を伝えようとしているのでしょうか?お母さんに注意されたり怒られたりするリスクを引き受けながら伝えているのですから、ものすごく大切なメッセージなのではないでしょうか?
★★★★★
ここからは、味覚が繊細だった私自身の幼少期のこともちょっと含めて お伝えしますね。
私自身は、今でこそ「人前で話す仕事」をしておりますし、10代のころに自尊心を鍛える経験を積みましたが、もともとの性質(素性)は繊細で内向的。HSPの診断項目に割当てはまる 繊細気質を有しています。(HSSではありません。)
★★★★★
小さい頃、美味しくないものを食べる事は、精神的にとてもとても苦痛でした。きらいなおかずを、無理やり食べさせられることは、罰が与えられているように感じ、自分の存在を否定されているように感じていたのだと思います。
当時は、そこまで言葉が浮かびませんでしたし、自分の内的感覚を捉えることはできませんでした。
ただただ、食事の時間がくると「胸のあたりがズキズキと重い」「食べる事が好きなのに、食事の時間への怖さも感じている」「食事が終わったら、お菓子を食べたくなる」という感じが自分の一部分にある
という感覚だったかな!
私の祖母も母も、手作りの物を中心に、食事もパンもおやつも心を込めて作ってくれたし、ちゃんと食べさせてくれました。食事中に怒鳴られるなど、感情的に接されることはありませんでした。祖父は珍しいお菓子や大好きで、どこでみつけてきたのか?私たちにいつも届けてくれていました。
それでも、私は嫌いな食材や料理が沢山ありました。不満もありました。「全部、美味しい物だったらいいのに」と、ひそかに思っていましたね…(^^;)
育ててくれた人たちを責めたり、否定したりする魂胆は一切ありません。
逆に、「こんなにたくさん色々と食べさせてくれているのに、不満もってごめんなさい。おじいちゃんが作ってくれた大事なお米より、パンが好きと思ってしまってごめんなさい。お菓子が好きな私はダメなのかな。。。」と思う面もありました。
こんな風に、私の生まれ持った気質である繊細性(幼少期は共感性と洞察性が過敏だった)は、食事というシーンで思いがけない反応(感情)を生み出してしまっていました。それらの反応(感情)は悪い事なのではないのに、勝手に自分で悪いと思いがちであり、そういう状態がデフォルトになってしまていることに、誰も気づいていなかったんですよね。
今、改めて思います。おいしくない、と感じることは「自分が外部から攻撃されている」という感覚似ていると思います。結果的に「緊張する」「身構える」という「神経的なとんがり状態」を作り出していたのだと思います。
続くと、心萎えますので、それに関連して色々と過敏になったり消極的になったり、理屈こねて正しさを主張したりしたように思います。
逆に、美味しい物を食べると「自分は受け入れられている」という感覚と似た状態になると思います。これは「安心」という感覚がもたらす神経系的な反応と似ていると思うんですよね。だから一般的な「ストレス食い」をやめられない人が多いのだと思います。嫌なことがあった時、「美味しい物を食べる」と緊張がほどけて幸福感を感じられます。これは食べ物の影響によるものだけではなく、その後のホルモンの影響を受け神経の状態が変わることも関係しています。
食べるということがもたらすその先の反応は、積み重なることで人生に大きく影響していきます。自分の人生を振り返ることで当時は分からなかったことにも改めて気付くことができます。
お子さんの食事についてや食事作りそのものについて、または「食習慣」についてお困りごとがあるなら、自分自身の幼少期を振り返ってみるのもおすすめです。そこには、現状の問題を解決するための
根本的なヒントが眠っていますから(^_-)-☆
母親としてどんなに食事作りで尽くしたとしても、子どもは子供なりの感覚で捉えることしかできないのだから、文句もあるし、嫌な物もあるし、食べたくないものだってあります。
今、自分の繊細性を受け入れたうえで、子どもと母親の両方の立場を経験して
思うのは、「母親としてどんなに尽くしても、その結果や反応を子どもに求めてはならない」ということです。
期待はしないけど、信頼はする。食の知識を得て、
淡々と、ラクに実践する。
よく、「モチベーションが続かない」というご相談もお受けしますが、日々の食事作りにモチベーションは必要ないというのが私の持論です。子供たちの反応を楽しみに(つまり期待)のみ、食事作りをしているとすぐに力尽きます。
子どもたちの「美味しいね」は、もらえる予定の無かったボーナスみたいなもんです。私は臨時ボーナスも嬉しいので、やったーーーー!と喜びますが、それだけを求めて食事作りはしません。
食事作りは習慣。
習慣とは、「いつ、どこで、なにを、どのくらいの量、どの手順で」行うかのルーティンが決まっているということ。それに加えて「楽しい」「続けたい」と感じる「恩恵」を肌で感じ、リアルに得ていることへ意識を向けられている状態のことです。
日々の献立も同じく「習慣」
毎日、一生懸命考えたり、レシピ検索しながら料理をつくるのでは大変すぎます。献立は考えないでもバランスよくできる方法を「システム化」してしまうことで、脳内のメモリーが余ります。
メモリが余ると、日常で起こる様々な「え~~!?」という出来事に対して余裕をもって対応できるので、色々な要望が勃発する(笑)子育てが楽に感じますよ。子育てのかなめは食育にあり(^_-)-☆
食が変われば 体が変わり、
体が変われば 感じ方が変わり、
感じ方が変われば考え方が変わります。
性格が変わると表現される方もいますね。
性格が変われば 人生変わります(*^-^*)私も食の力を使って人生を「幸せ開拓」してきました。
最後に。
食事は楽しく(安定した神経系の状態で)食べてこそ、食物をスムーズに消化することができ、栄養素を効率よく吸収することができます。
どんな食事内容だったとしても、それを食べる時間に迎え入れた時は、「おいしいね(*^-^*)」と心安らかに、感謝の気持ちを込めていただいてほしいなと思います。
私たち人間は、命をくださる動植物からエネルギーを得ることで生きていくことができています。命の循環の一部にいることへ、親自身が意識を向け、真摯に向き合うことで、「食べなきゃダメ」という言葉なしに、本当に伝えたい「食べる事の大切さ」が子供へ自然と伝わってゆきます。
時として「何を食べるか」よりも「どのように食べるか」の方が大切だからです。子どもの食べる力を信じ、育てていきましょう。
このホームページ上、最長の記事を
最後まで読んでくださってありがとうございます。感謝します。
食育革命® 小寺美江
(栄養士/「献立塾」主宰)
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