子供の好き嫌い対応のカギ 味覚について

5つの基本味の栄養的役割

甘み、うま味、塩味、酸味、苦味は生物学的な意味があり、栄養や毒のシグナルとなります。

甘味 エネルギー源になる糖の味。砂糖・くだものなど。
うま味 たんぱく質(アミノ酸)を示す味。肉・魚・乳製品など。
塩味 ナトリウム(ミネラルの一種)の味。
食塩、みそ、しょうゆなど。
酸味 腐敗(発酵)や未熟を示し、本能的には好まれない味。
ヨーグルト、未熟なくだものなど。
苦味 毒物を示す場合もあり、本能的には好まれない味。
コーヒー、山菜など。

 子どもは、酸味・苦味が苦手です。練習しながら少しずつ食べられるようになっていきます。最初は無理強いせず、少しずつチャレンジしていきましょう。嫌いなものは、「ひと口でもいいから」ではなく「一粒から」です。少量のおかずは、小さいお皿に盛りつけることでおいしそうに見えます。

 「苦味は毒の味」「酸味は腐ったものの味」と表現されるように、苦味と酸味は本来食べないほうが良いものを連想する味覚です。子どもの味覚はとても鋭く、直感でこれらの味を「食べないほうが良い」と判断するため、最初から「酸味も苦味も大好き」という子どもはあまりいません。練習することで「食べられるもの」と認識し、苦味や酸味の奥にあるおいしさ(うま味)を優先するようになっていきます。
 「食べて大丈夫、食べよう」と思うようになるまでには、ある程度の食経験と年齢などの成長が必要ですので、ゆっくりと構えましょう。苦味は、「素材にしっかり火を通す」「たんぱく質を多く含む食品と合わせる」などの工夫をすることで食べやすくなります。

 また、苦手なものの盛りつけは「食べてほしい期待量」ではなく「食べきれる量」にして、食べきれる成功体験を積むことが大切です。少食の子どもの対応も同様に、器を小さくしたり盛りつけ量を少なくするなど、食べきる練習をしていきましょう。食べる量には個人差があります。
 
 なお、強い甘味や塩味、化学的に作られた単調な「うま味」に慣れてしまうと、素材そのものが持つ、優しい甘味・塩味・うま味を感じにくくなってしまいます。加工品やおやつの摂取頻度や量に気をつけましょう。