プロフィール

小寺 美江

mie kodera
栄養士/食育コンサルタント

1974年生まれ 愛媛県松山市出身
東京学芸大学 教育学部 保健学専攻卒
女子栄養大学 短期大学部 食物栄養科卒

インターハイ出場・15年間にわたる摂食障害を自力で克服・2児の子育て経験を通し「母親への“日常レベルに落とし込んだ具体的な食教育”が必須の時代だ!」と確信し、食育・栄養指導を使命とするため41歳で栄養士となる。大学研究室に勤務し、栄養士としてメニュー開発・健康推進事業等に従事した後、独立し現在に至る。

開催した食育講座・セミナー・講演はわずか3年間で1300人以上が受講。
幼稚園・小学校・横浜市などで食育講演会を担う。
「簡単な知識と方法」「個々に寄り添いつつ、俯瞰した力強いアドバイス」で、 相談者の食選択をより良い方向へと変え、相談者の実践力を向上させることを得意とする。頑張る食育や食事作りではなく、日々忙しい母親の負荷を減らしながら、食がもたらす恩恵を最大限豊かにするよう導く。

個別コンサルティングでは、どこに相談しても解決しなかった「栄養バランスの不安・少食・偏食・好き嫌い等の食生活の悩み」がスルスルと紐解ける、腑に落ちる答えを持てるようになると定評がある。
家族の食医となり、簡単で楽しく自分と家族の健康財産を最大化する「食育革命®」を創始。食育革命®をマスターし、子どもと身近な大切な人に健康財産を手渡す人になる「献立塾」を中心に活動。

●私が歩んできた道と仕事に対するスタンス

幼少からスイミングの試合で数多く上位入賞するスポーツ少女でした。
中学時代には、ソフトテニスで何度も地方大会優勝。
高校生時代にテニスでインターハイ出場を叶えるなど、厳しい体育会系の世界で生きてきました。

とても体力と根性が必要な生活を送っていたことと、大正生まれの祖父の影響を受け「運動と健康・教育」に興味を持ちました。スポーツの練習には怪我予防やメンタル強化の知識の必要性も感じていたため「私には根性論で人を導くことはできない。もっと安全な練習方法で指導できるようになりたい。」「子どもの心が育つ練習方法や心理学についても学びたい」と思い、健康教育をできる教員を志しました。
当時は珍しかった運動処方(有病者のための運動・疾病予防のための運動)なども学びたいと考え、18歳で親元を離れ、全てを学べる東京学芸大学に進学。「保健学」を専攻し「健康教育」を専門として学びました。

しかし、教員採用試験を目前に控えた頃、改めて厳しかったスポーツ界を乗り越えてきた経験を振り返り『厳しい練習・過酷な試合・タイトルを取るための様々なストレスを乗り越えるためには、トレーニングや知識だけなく、食事が非常に大事であった』と急に確信したことで、食を深く学びたいと思い始めました。そして卒業を間近に控えた冬、今までの健康教育への学びに一旦 区切りをつけ、一大決心をして路線変更したのです。

地元の一部上場企業に就職し、休日と給料をつぎ込んで栄養や料理の勉強を始めました。
中四国内を約1年単位で転勤しながら、各地でおいしいものを食べ、イタリアン料理・中華料理・日本の家庭料理などなど、ジャンルを問わず料理を習える先を訪ねるのがライフワークとなりました。

ありがたいことに就職先の方々に温かく接していただき「この会社は何をする会社なのだろうか?」という状態で総合職に就いたにもかかわらず(笑)「この企業で働くことの楽しさ」を感じることができ、様々な部署で責任ある仕事を任せていただきました。おかげさまで食品を扱う部門に在籍した際「売り場づくりコンテスト」で社内優勝も果たしました。

しかし私は、23歳を過ぎてから酷いアトピー性皮膚炎を発症していました。
全身に広がる湿疹。華の20代にも関わらず顔の皮膚にひどい炎症を起こし、お化粧などもっての他。顔を洗うことすら苦痛という日々を送りました。
「鏡を見るたびに自分の醜い姿と対面する」という経験から、「食べ物で自分の体質を変え、食事で自分の体調を整えるにはどうしたらいいのだろう?」ということに興味を持ちました。

さらに私は、さまざま要因が重なり、19歳から15年もの長い間、摂食障害を発症してしまい、長期間、病気と闘いながら生活してきました。自分を責め続ける人生のどん底を経験しています。
「生きていくためには食べなくてはならない」この当たり前のことができない現実を歩むことになってしまった私は、「ただただスポーツや勉強に一生懸命取り組んできたという経験」をわきに置き、「食べるとは」「生きるとは」「幸せとは」という哲学的な問いと向き合うことにもなりました。

難病に指定され、治癒困難とも言われていた摂食障害を私は病院に通うことなく克服しました。
この長い長い「克服過程」で、様々な「栄養学・料理法・食養生・心理学」を学ぶ機会に恵まれました。
これらの学びの中で「食事を適切に摂らない事の結末が、いかに恐ろしいか」ということ、「部分的な栄養ではなく、食生活全体を俯瞰し、毎日の食事を自分に合った形でしっかり食べることの重要性」を、身をもって深く深く知ることができました。

また、どんなに自分が望まない病気であったとしても「そうなるしかなかった理由が存在するんだよ」と愛あふれる視点があることを知り、頑張る方向性のずれを見直すことや「必要ない頑張り」を手放して楽になっていくことの恩恵を体験しました。
自分も家族もまるごと幸せになっていく生き方へとシフトするために、通院こそしませんでしたが、たくさんの方の支援を受け、今があります。「日常の幸せや心地よさの本質」を知り、心の底から心地よいと感じる暮らしになっていった過程1つ1つが私の財産です。

(自分は病気だと自覚し、自ら通院を始めましたが、当時の私には病院に根気よく通う気力が残っていませんでした。仕事を続けながら1~2年ほど心療内科に通いましたが、薬では根本的に治癒することが難しいと察し、自己判断で通院をやめてしまいました。現在、摂食障害の治療法は進化し、専門の医療機関も増えました。きちんと通院して治療されることを強くお勧めいたします。また、ご自身でその傾向があると自覚してらっしゃるなら、心の専門家を頼ることをためらわず、ご自分に合うカウンセラーや心理士との出会いを掴みに行くことをお勧めいたします。)
 
 
運よく、優しい夫と出会い、不妊治療を経て2人の娘を育てる機会を与えられました。
希望に満ち溢れた幼い我が子を目の前にし、自分の食事でこの子達が育っていくことの楽しさや醍醐味を存分に味わうことができました。それと同時に、いつでもどこでも食べ物を買える時代であり、「食・健康・ダイエット・子どもの知育・教育」などの情報があふれかえっているため、それらの中から自分にとって必要な物や情報を選び実践していくことの困難さがあることも経験しました。

このことがきっかけで「まずは自分の知っていることを伝えよう!子供は母親の作った食事で育つ。母親の食育に対する意識向上と実践力アップが私の人生のミッション」と思うようになり「子育てのかなめ!お母さんのための食育講座」をスタートさせました。

しかし、この食育講座を始めてしばらくたった頃「食育だけでは解決できない問題」にぶち当たりました。3歳児検診以降、栄養の専門家からアドバイスを受ける期間がほとんどないため、「子ども・自分・夫それぞれにとっての適切な食事量や食事内容」についての具体的なアドバイスを必要としている方が多数いることを知ったのです。

また、「知っていてもできない」「たくさんの情報を集め、色々やりすぎて逆に不健康になっている」という現状も目の当たりにして驚きました。真面目で知的なお母さんたちがどれほど努力し、頑張って子育てしているかの一端を目の前にした瞬間でもありました。

加えて、年齢とともに様々な健康不安が増してくるご主人の食事も、妻側が担っているケースが今の日本では多く見られます。私自身、夫の15キロの減量作成を成功させ、リバウンドゼロを維持しているのですが、大切な夫がメタボリックシンドロームから脱し、健康で居てくれることが、どれほど自分自身と家族の心と未来を明るくしてくれるか、深く心に沁みています。

このような女性たちに、私は何を手渡せるのだろう?そう考えながら浮かんだのは「栄養指導」「栄養アセスメント」「生化学」について基礎から学び直したいとの思いでした。
次女5歳という子育て中ではありましたが、夫や離れて暮らす親達の力強い支えを受け、39歳から女子栄養大学短期大学部に入学。41歳で栄養士の資格を取得しました。

一緒に生きる我が子、身近な大切な人(私にとっては夫)の健康を「食事」から作り出せる存在になれる方法を、私は様々な経験を通して学び、身につけてきました。これら学んだ知識と経験を体系的にまとめ「食育革命®」というメソッドを作り、伝授することをスタートさせました。

今現在、私は、食・健康・ダイエットなどの情報が溢れる現代において、情報を俯瞰し取捨選択するために必要な「食生活の自分軸」を持つことの大切さ、食生活の自分軸の作り方、栄養バランスの良い食生活を継続して実践する方法を伝え、自分が望む食生活を送れるようになりたい方のサポートをしています。
 
 
私は、どんな自分もどんな人生も、受け止め、自分らしく心豊かに過ごしていきたいと思い“食事を整え人生を創造する”を自分の軸として暮らしています。また、若かりし頃「健康教育」を専攻した経験から「食事さえ良ければ大丈夫」ではなく、食事は大切だけれど食事は健康を作る一部であるという視点も大切にしています。「食事は自分の楽しい人生を支える、大きくて太いツールの1つ」というのが私の食事に対する考え方の1つです。

母親となって知ったのは「自分の食事で子供が育っていくという自然の摂理の美しさ」と「子どもの成長がいかに自分の喜びとして大きいか」ということです。
そして、それを存分に味わうには「子どもを大切にしつつ、自分と子どもの人生を分離する意識」を持った上で、ラクに、楽しく、無理のない食事作りをしていくことが大切ということです。

「女性が、食育の本質を知り楽しく実践することによる恩恵や、開ける可能性は無限大。まずは女性自身が楽しく自信をもってバランスの良い食生活を送れるようになることが大切!そうすれば、子供からその先へと幸せの循環が起こり、日本の心身の健康の底上げにつながる」という想いを持って活動しております。

私は人から見たら「悲惨」とも思われる病気を乗り越えてきました。
おそらく私の中には強いレジリエンス力が備わっていたのでしょう。
それは生まれた時から両親や祖父母をはじめ無意識に沢山の「愛」を浴びてきたからだと言えます。
また、幼少期から母が栄養の大切さを自覚し「栄養的にも心理的にも満たされた食事」を私に提供し続けた恩恵であると感じています。母以外からも恵まれた食教育を自然と受けられる環境でした。

食育を伝える立場になって改めて自分の辛かった経験に対して思うこと。それは『「食育がなぜ子どもにとって大きな財産となり、今を幸せに生きるために大切なのか」と「栄養バランスよい食事がもたらす幸運」について、世代を超えて受け取ったものに加え、「新たに自分の体で体得する必要がある事があった」から経験したのだな』ということです。

新たに体得することが必要だったのは「子どもの心の成長」「子どもの体や機能の成長」「子供の味覚の成長」この3つに寄り添った具体的な食事内容。そして「食べる力を養う見守り方(味覚トレーニング)」をするための「意識を向けるポイントと言葉の使い方」でした。

子どもの「折れにくい心」「がんばる力」「逆境力」の源には「健全な愛着」が必要です。愛着を健全に育む視点を知り「日々の食卓」で実践することで、母親としての視点が広がり、栄養バランスの不安や小食や偏食の悩みが飛躍的に改善されていきます。
少食や偏食の理由は、「料理のスキル」以外として「子どもが生まれ持った敏感さ」が影響している事も知り、敏感さへ配慮した「食べる力の養い方」を示していく必要があります。

様々な栄養学に関する研究が進んできましたが、それでも人に対する疫学的研究は道半ばであり、「食べること」に対して正解は存在しません。(指針は各国で策定されています。)
様々な研究が日々行われていますが、明確に断言できないこと(してはいけないこと)がまだまだ多いのです。このような「答えのない世界」において、自分なりの答えをもって生きているひとりの人として在り、「栄養学」を軸として知識を伝えつつ、自分の中に流動的な答えを持てるようになるためのフックを提供できる存在でありたいと思っています。

略歴

東京学芸大学 教育学部 保健学専修卒(保健体育・保健)
女子栄養大学短期大学部 食物栄養科卒(栄養士)
家庭料理技能検定2級(全国審査:優良賞受賞)
食生活指導士1級
肥満予防健康管理士

栄養士・食育コンサルタント 小寺美江