水分補給について

水は、栄養素には分類されていませんが、生命維持のために必要不可欠な物質です。人体の構成成分の中で最もっとも多く、成人では体重の約60%、小児は約70%を占めると言われています。
水の必要量はエビデンスに基づいて算定することが難しため、現在「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では設定されていません。

水は、「飲料」として体内に摂取するだけでなく「食事」からも摂取することができます。また、代謝を通してできる「代謝水」も含めたものが総量であり、見た目の「飲み水」だけでは表せないため、「1日〇〇ℓ」という量では表せない場合が多いのです。

水分補給後の体調を自分自身がよく観察し、必要量を自分で見極めていく力が大切です。脱水が心配される病気や、暑い時期の激しいスポーツの際には、適切な質と量を意図的に摂取することが重要です。

朝食に「ごはん1膳 と 味噌汁1杯」を食べた場合、食事に含まれる250mlの水分を「食べる」という形で効率よく摂取することができます。しかし朝食を抜いた場合はこの水分を摂ることができませんので「のどがかわきやすい」と感じるかもしれません。

このように、水分を摂る量は「飲料の量」だけではなく「食事の内容」と相関もあります。
珍しくない相談で「あまり喉がかわかないので、水分を摂らないと言ったら「飲まないとダメ」と言われたので、頑張って飲んでいるんだけれども、トイレが近くなってしんどい」というお悩みがあります。

この様な方の食事記録を拝見すると、和食中心でバランスよく召し上がっておられ、「食事に含まれる推定水分量」も多い状態だったりします。このような場合は「無理に飲むのはやめて、少し様子を見てみませんか?」とご提案する場合もあります(^^)

水分補給をすすめられる要因として、「便秘」がありますが、水分を摂っただけでは便秘は解消されませんのでお気を付けください。
逆に、アルコールを摂取すると脱水を起こしますので、飲み会の日や翌日の水分補給は意識して行いましょうね!同様に、ファスティング中なども水の摂り方に工夫が必要です。

腸内で水分が効率的に吸収されるための「糖質とナトリウムの比率」があるため、速やかな水分補給が必要なシーンでは、自家製スポーツドリンクを利用するのがおすすめです。市販のスポーツドリンクを利用する場合は、甘さを調整するために水で薄める場合もあると思いますが、その場合は「糖分3~8%、塩分0.1~0.2%(ナトリウム40〜80㎎/100ml)」に調整できるとよいでしょう。

具体的には、「倍量の水で薄め、ひとつまみの粗塩を加える」です。

温度は、5〜15℃が適温です。利尿作用がある飲み物(緑茶・ウーロン茶など)やアルコール飲料・カフェイン飲料は避けてください。脱水を促進してしまいます。(子供の日常の飲料としてもおすすめできません。)

暑い中での激しいスポーツ時など発汗量が多い状況においては、一度に多量の水を飲むと脱水を促進してしまいますので、こまめな水分補給が大切です。汗をたくさんかくことが予測される日は、

起床後にコップ一杯の白湯を飲み
朝食は「ご飯+味噌汁」はマストとします。
食後、20~30分経過した頃からこまめに水分補給をしましょう。

水分補給のポイント

  • 一日を通してこまめに(食事からも水分を十分に摂ること)
  • 運動前は30分前からより意識的に
  • 運動中は15〜20分おきに
  • 運動後も速やかに補給(がぶ飲みしない)

子どもの場合、スポーツドリンクを常飲することはおすすめできません。

日々の練習量や気温によっては、水か麦茶で十分よい場合がありますので、
取り入れ方のルールを家庭で決めておきましょう。

スポーツドリンクの飲み過ぎが原因で「食事が摂れない」ということも起こります。食事が摂れないと、損傷した細胞を修復することができなかったり、疲労回復も遅れます。

熱中症が心配な時期の
激しい運動時には、スポーツドリンクと水の両方を持参しましょう。
熱中症の疑いがあるときは、経口補水液が有効です。この場合、命にかかわることがありますので、自己判断せず、すぐに医療機関を受診しましょう。

自家製スポーツドリンクのレシピ

水に対し、糖分3〜8%、塩分0.1〜0.2%(ナトリウム40〜80mg/100ml中)が理想的です。

<配合例>
・ 水 1リットル
・ 粗塩 2〜3つまみ
・ きび砂糖 30g~80g(大さじ3〜8)
※ 砂糖は少なめで作り、飲みやすさや好みに応じて上限を超えないように加える。
※ 好みに応じてレモン汁を加える。
※塩はミネラルが含まれる「粗塩」を使いましょう。

 

少食・偏食で栄養不足が心配、もっとラクに栄養の取れる食事を作りたい、スポーツを頑張っている我が子を食事で支えたい!などのご相談は
食育革命1Dayセミナーまたは個別セッションでお受けいたします。
お気軽にご相談ください。

栄養士 小寺美江